No.804 大崩 祝子川ゴルジュ

メンバー:KH,IK,シズちゃん

2017/9/3

快晴 20~28℃ 0~3m/s 核心部の大釜の滝から三里河原までの所要時間3~4時間(3人)

登山口7:15~8:05大崩山荘810~湧く塚コース分岐8:20~8:30入渓~12:20三里河原13:00~13:50登山口

湧く塚コース分岐より300m上流から入渓。登山道からすぐに降りれ便利だ。30分ほどで、喜平谷出合になりちょうどよいウォーミングアップになる。

大岩の乗越や小さな釜など変化に富んでいるが難しいことはない。明るくて気持ちいいし、どこからでも登山道に逃げられる。泳ぎたければ泳げばいいし、嫌なら巻けばいい。気負いすることなくのんびり上る。

クライマックスは突然訪れる。平凡な沢歩きに飽きたころ、ゴルジュ入り口の大釜(直径30m)の滝が現れる。水量が少ないと1条だが、多いときは2条となる。今回は日照りが続き1条だ。あまり苦労せずに登れるが、新人のKHには不運である。出来たら難しいシチュエイションでフォローさせたかった。

この滝は、人口で突破なのだが、自信のないパーティには巻道も用意されている。まずはとりつきまで20mの泳ぎ。水量次第ではとりつくことも非常に難儀する。

1ピン目は手は届かず、棒につけたスカイフックなどで、引っ掛けるしかない。い~じゃないか。ピンを打ったクライマーに敬意を表する。5本のリングボルトが打ってある。ピン感覚は短いが、1ピン目は今にも抜けそう。2ピンと4ピンは頭がない。最後のピンは変形し、とどまっているのが不思議なくらい。したがって、ナッツのワイヤーや2~3mmのコードを持参する必要がある。最後の落ち口からフリーに変わるところが難しく水量が多いときは一か八かの世界となる。落ちても深い釜なので、大した怪我はしないだろうが、墜落後の連携をフォロアーと十分に打合せしておかないと意思疎通のできない釜では死が待っている。

1段目を上っても核心はこの後だ。下からはわからないが実はこの滝は2段で、1段目を上がるとヤカンの底にいるような場所で、つるつるの岩を出口めがけて登らなければならない。登れないパーティは撤退するしかない。ヤカンの底から両足のツッパリで立ち上がり、#3~4カムをチョックストーンにかませ、エイダーをかけ這い上がらなければならない。スリングが残置してありそれを使えば簡単に上れた。ここがこの沢のもっとも難しいところなので残置物は残念と言えば残念。

大滝の釜を抜けると明るくほっとするが、高さ50m幅5mの巨大ゴルジュの真っただ中には変わりない。すぐに幅3m長さ30mの長トロがある。泳いで突破。

そしてハイライトの最狭40㎝のゴルジュが始まる。ここから有名すぎるので説明は省く。

・1つ目の長トロのゴルジュ ⇓ 

・今回使った特別装備 左から ⇓ 

⓪一般の登攀装備やエイダー

①マイクロプーリー:ピンの頭がないものもあったため、後続のエイダー架け替えが煩雑。そのため2番手以降はアッセンダーとして使った。

②マイクロストッパー:頭のないピンにワイヤー部分をひっかけてリング代わりに使う

③スカイフック:1ピン目が水面から高く手で届かない。そのためワイヤー入りスリングに着けたスカイフックで引っ掛ける。これがないと取り付けない。

④リンクカム

⑤BDカム#3・#4:エイドクライミングの滝の2段目の突破に必要。今回は残地スリングがかかっていたため必要なかった。


・さあ出発 ⇓ 

・入渓は湧く塚コース分岐の300m先から

・新人のKH.先日は、サマン谷、鹿納谷を楽しんだ。レスキュー隊員だけあって身体能力はピカイチ。今回は68歳・57歳・28歳のじいい、おやじ、息子のパーティとなった。

・前半はどこを上っても楽しい明るい沢だ!

・この沢は登攀的な意味以外に自然の美しさをじっくり楽しめるのが特徴だ。

・孫は泳ぎ、じいちゃんは巻く。俺はどうしよう?

・まだ気温が上がらず少し日向ぼっこ。

・だんだんゴルジュが迫ってくるが威圧感はない。

・長く暑い夏が終わって穏やかな秋の日差しが注ぐ

・空は青く岩は白い。

・ここを独り占めできるのが沢屋冥利に尽きる!!

・そして突然クライマックスが始まる。手前から「巻ける」のだが「負ける」気がする。ここを巻いちゃゴルジュ突破とはいかない。気合を入れて突っ込む。

空身で壁まで達し、ピンにフックをひっかけロープをクリップ。ここで力尽き岸まで戻り体を温める。2回目でギアを身につけロープ頼りに壁までスピーディに渡り、上がり込む。この方法じゃないとなかなか壁には取り付けない。1回で処理しようと思わないことが肝心。

あとはリングが落ちたり抜けそうなピンにナッツのワイヤーをかけながらエイドクライミング。

抜け口が足が水流に流されそうで、一か八かで突破。

ここで終わりじゃない。まだ序の口だ。ここからが最大の核心。ヤカンの底のような空間で被ったツルツルの岩を手足のツッパリで一段上がり込み、ここから足と頭でツッパリ、手をフリーにし、カム#4をセットしエイダーをかけてのムーブとなる。

・大釜の滝を突破すると一息つけるがここからがビジュアル的なハイライト。大釜を突破したものにしか味わえない。

1つ目の長トロゴルジュ。

・2つ目の長トロゴルジュ。最後は手足のツッパリで。

・振り返るとこんな感じ。

・このトンネルを超えるとあとは平凡となる。

山岳冒険倶楽部 星と焚火

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