記録
日時:2016/12/29~1/4
メンバー:IK,SK
【12/29 0日目】 晴れのち雪
13:45分手鎌出発~14:15広川インター到着。軽量ショベルを借りるため、田中君と待ち合わせをするが遅れるとの連絡。京都の友人と待ち合わせがあったので、ガス缶1個分の軽量化ができるがあきらめて出発する。
いつもは京都などで必ず渋滞して1~2時間ほどは遅れるが、今年は全くなかった。
【12/30 1日目】 晴れ
2:00AM安曇野SA 5:00~7:15大町アルプス第一タクシー営業所7:30~8:00葛温泉8:30~9:05七倉ゲート登山指導所9:25~10:45高瀬ダム上~12:30名無小屋~14:00湯俣~偵察~16:30湯俣(泊)
2:00AM安曇野SA到着。仮眠して5:00出発。安曇野インターを降りそこない、引返すのに1時間ロスする。7:15大町アルプス第一タクシー営業所到着。車を預かってもらい7:30葛温泉に向け出発。
葛温泉8:00着・8:30発。5~8人程のトレースがある。積雪は10cmほど。
1Kmほどある七倉隧道は中央部が真っ暗で、その一部がブラックアイスバーンになっていた。ここで、二人とも激しくこける。自分はザックから倒れ、クッカーが少し変形しただけでダメージは無かったが、聡美が肩、腰、膝をしこたまぶつけたらしく、暗闇の中うめいている。「ダメージは」と聞いても返事がなくうめくだけ。この時点で、ほぼこの山行をあきらめた。しばらくして、彼女は立ち上がり、なんとか行けそうだと話す。しかし、このアキシデントはその後、山行が終わってからも尾を引くこととなる。
9:05七倉ゲート登山指導所にはレンジャーがいたので登山届を出し、入山状況を聞く。北鎌は4人パーティとソロ合計5人が昨日から入っている模様。硫黄尾根に向かうのは我々だけ。例年になく雪が少ないらしい。9:25出発。
高瀬ダム10:45着、積雪15cm。快晴。名無小屋12:30。湯俣14:00。昨日、自宅を出てほぼ24時間。ほとんど寝ていないので疲れてしまった。河原には温泉が湧いていて、きれいではないが冬季小屋もある。今夜はここに決まり。温泉につかってゆっくりすることにする。
明日に備えて、取りつき地点まで偵察に行く。橋は修復され問題なくわたれたが、湯俣川上流からのとりつき点は、渡渉できずあきらめた。
千丈沢側へ300mほど進むが、土砂崩れ跡が3か所あり、凍結していてクランポンをつけ通過。いったん河原におり、広い河原の中の分流をまたぎ、しばらくで赤テープとさらに古い赤のゲーターがぶら下げられているところに到着。ここが取り付きらしい。湯俣からここまでトレースはなかった…?。ここで湯俣に引返す。湯俣16:30着。冬季小屋を確認し、すぐに河原の自然風呂(30畳ほどの広さ)につかる。高瀬ダム方向のV字谷の向こうに針ノ木方面の山々が夕日に輝いている。これこそ極楽。本番前にゆっくり休めそうだ!1時間ほど湯につかり、少々のぼせ気味になりながら、湯を上がり、ぽかぽかで小屋で食事をし、ほとんど眠りながらラジオの天気予報をチェックするとあと2日は持ちそう。その後、意識はなくなり、朝まで熟睡。たぶん20時ころまでに寝たはず。
【12/31 2日目】 夜まで快晴 無風 気温‐5~+5℃
湯俣6:00~7:30 H1550m尾根~11:00 P1~12:00 P3~14:00 P6~14:20小次郎のコル~15:30ジャンクション肩~16:30硫黄岳~17:00硫黄岳寄りの硫黄台地~17:30テント入り
時計が見当たらず、カメラを起動して時間をチェック。4:15。急いで起きて、食事をとる。水があるので、準備には時間はかからなかった。
6:00出発。昨日、偵察しておいた取り付き地点まで移動。取り付き6:30。小さな尾根と尾根の間の浅い沢状を登る。雪はほとんどついてなく、笹藪を登る。80mほど上がったところあたりから雪が30cmほど積んでおり、笹が倒れて大変な思いをする。
聡美は昨日のトンネルでの転倒の影響で膝と腰が痛く力が入らないようで、顔をゆがめて登ってきた。仕方がないので共同装備のツエルトとガス缶1本だけ持たせ、残りすべてを自分が持つ。
7:30 1550m尾根に上がり込む。笹藪の上に雪が15cmほど乗り、クラスとしている。足を動かすごとに笹藪に足を突っ込む。もううんざりだ。
そうこうしているうちに11:00 P1到着。P2(たぶん)は2mほどのかぶり気味の岩が出ており、ザックを下してのっこす。
P3 12:00 懸垂用の残置支点が出ており、30mいっぱいの懸垂(春は2回に分けて懸垂したところ)。
P6 14:00 P3からの眺めは立っており、難しそうだったが取り付いてみるとクラストした雪面で、ところどころハイマツの枝だけ出ており、怖くもなく快適に上る。小次郎のコルには急な雪壁状でスタカットで降りる。下のほうで、ハイマツ帯を踏み抜いてイラついたがそれほど大変ではなかった。小二郎のコル14:20。
硫黄岳の登りは、はじめ樹林帯の中のナイフリッジの雪稜からルンゼ状、いったん細い雪稜に上がり込み、すぐに左の雪壁を2pほどで、左から上がってくる大きな尾根に合流し、肩に上がり込む。ここで15:30。
肩からしばらくで2mほどある垂直の雪壁+雪庇をのっこすと、傾斜の強い雪稜を登り、だんだん傾斜が緩み硫黄岳到着。16:30。30分ほどなだらかな台地を進み、適当なところで天場を作る。少し風が強かった(10m前後)ので、雪面を少し掘り下げブロックを積んだ。
17:30テント入り。
デジカメは昼頃ダウンし、もう復帰しなかった。スマホは朝出発の時点で電池残量30%を切っており、そのまま電源を落とした。その後、緊急時のために電源を入れることはなかった。食事をしながらラジオで天気をチェックする。1/3までは松本晴れ。金沢にわか雨の予報。寒気は流れ込んでおらず冬型ではない。空には満天の星が出ている。このまま突っ込むことにする。21:00就寝。
【1/1 3日目】 朝薄いガス。日が昇り快晴。風は5~10m、そよ風だ。気温-5~+3℃
硫黄台地6:30~7:30硫黄台地末端~9:00雷鳥ルンゼ・南峰のコル~9:45南峰~16:00中山沢のコル~17:00テント入り
明るくなってくるとガスは薄れ、視界もきいてきた。昨夜は一時小雪が舞ったみたいで自分らのトレースは消えていた。朝の天気予報も、少なくとも明日までは移動性高気圧の圏内らしく、あまりくずれる気配はない。明日まで天気が持てば白樺台地までは、問題なく行けそうな雪のコンディションだ。白樺台地につけば燃料・食料は最悪1/7までは持つので持久戦に持っていける。よし、行くぞ!
6:30出発。硫黄台地末端7:30。ハイマツを掘り出し、30mいっぱい雪壁を懸垂。20mクライムダウンすると木が出ている。岩と雪のミックスを20mクライムダウン。土嚢アンカーで30m緩いラッペルをして雪の詰まったルンゼを降りる。コルが見えてきたので、春と同じく左手の岩峰の裾を100mほどトラバースし50mほど登るとコルについて一安心。9:00。
小さなコブを超え南峰到着。9:45。南峰からは赤岳ジャンダルム群がきれいに見える。春と違って真っ白の雪稜。風も弱く、天気は最高。ここを過ぎたら引返せないが、もう行くしかない。
P1・P2は湯又側を巻き、P3直登して短いラッペル、P4直登。P5・P6ここから左右キレ落ちていてスタカットで進む。千丈側には雪庇が発達しているので、リードが落ちたときの対処を確認して、慎重に進む。
P6の先にコルがあり、正面は垂直に見える壁。千丈沢側へ30m?ほどトラバースし、ところどころ岩の出る雪の詰まったきつい傾斜のルンゼ。40mで尾根へ出る。正面の立ったミックスを登るとP7。ここから残置支点からラッペルし、降りったところで千丈側から雪壁を詰めるとP8。懸垂支点がわからず大きな岩に捨て縄を巻き、さらに土嚢アンカーでバックアップし、30mいっぱいのラッペル。降り立ち、岸壁基部の雪壁を回り込むと中山沢のコル16:00。風が非常に強い。
千丈側の岩陰に入ると風がしのげる。雪の斜面を整地してテントを張った。17:00テント入り。天気予報では松本快晴。金沢曇り。夕方までは持ち、夜少し崩れ、明後日、弱い冬型になりそうだ。白樺台地までは問題なさそう。
【1/2 4日目】 視界良し。日が昇り快晴。午後から時々雪。風は15~10m、気温-10~+3℃
中山沢のコル7:00~14:30白樺平~トレース付け~16:00テント入り
7:00出発。正面をしばらく上り、千丈側にトラバースし、雪の詰まったルンゼを登る。雪面は凍りクランポンの歯がよく効く。スタンディングアックスと土嚢アンカーのスタカットで3p。上部は立っていて少してこずったが、土嚢のデッドマンはよく効いていて滑落しても雪の斜面を100m程滑るだけと思えばそんなに恐怖はない。P1を巻いて(よく思い出せない?)コル下へ。稜線に出ると風が非常に強いが千丈側の斜面は風はいくぶん弱い。手が非常に冷たいが、日が当たってくると回復した。コルから千丈側へ30m1p斜上すると視界が開け、いったん傾斜も緩む。今度は傾斜の強いミックスの雪壁を湯俣側へ60mいっぱい1p。ハイマツを掘り出し支点に。左に60m斜上して肩に出て、しばらくでP2(赤岳主峰)。春は視界が効かなくて、ガラガラのルンゼを右往左往していたのに視界があるとこんなにも違うかと改めて実感した。
だんだん天気は悪くなり、時折吹雪く。しかし長続きはせず視界は問題ない。P3~P5さらに白樺台地が見渡せる。鋭い雪のナイフリッジが続くが、岩が出ていないのでほっとする。P2から立った雪壁をスタカットで下ると、鋭いナイフリッジが始まる。千丈側には相変わらず雪庇が発達している。時々、目が開けられないほど風が強いので、止まる時間も長い。しかし、特段難しい登りはもうすでに終わっているし、時間もまだ十分にある。落ちた時のイメージを何度も確認しながら、亀のようにゆっくり慎重に進む。こんなことを繰り返すうちにだんだんエッジの鋭さはなくなり、台地上になってきた。白樺台地だ。
核心は終わった。ほっとするとともに、膝・腰を負傷しながらも苦痛に耐えながら自分をフォローした聡美に感謝した。また1.5人分の装備を背負いここまで来た自分も褒めた。俺たちはなんやかんやありながら、やっぱり最高のコンビだ!
14:30白樺台地。時間は早いが、西鎌まで上がると風が強くテント設営が困難な気がして、ここで終わることにする。雪面を掘り下げブロックを積む。視界もあるので、少しばかり西鎌へトレースをつけておく。16:00テント入り。
ラジオの天気予報で、明日から寒気が北日本に入り冬型となる予報。明日は西鎌尾根を槍に向かうわけだが、時間次第で千丈沢乗越から下山の選択肢も考えておく。
【1/3 5日目】 視界50m。朝、曇り。午後から風雪。風は15~20m、時折25m以上の突風。気温-15℃
白樺平7:00~7:40西鎌尾根~13:00千丈沢乗越~16:30槍平~18:00滝谷出合~19:30白出沢出合手前~テント入り20:00
7:00出発。視界はよくないが、昨日のトレースがうっすら残っているので問題ない。あっという間に西鎌に上がり込んだ。西鎌7:40。しかし、尾根に上がった途端、強い西風が襲う。雪庇もあるので緊張する。いったん50mほど戻り、ダウンジャケットとバラクラバをつけ、強風と低温に備える。今日抜けなければ、明日以降に天気があまり望めないので、強行することにした。ほとんど尾根上にルートをとる。ところどころ夏道も出ている。数年前、槍から笠に縦走した際には猛烈なラッセルを強いられたが、今回は、強風で雪は飛ばされているか、雪が残っているところはクラストして、風にあおられる以外は順調に進めた。顔が冷たいので、凍ってないがチェックする。やはり頬の上は霜がついていた。ダウンのフードもかぶり前進する。
万全の態勢で尾根に上がりこんだのがよかった。体も冷えないので、手足をそれほど冷たくはなく、時間をかけて慎重に進むことができた。2ヶ所ほど飛騨側の斜面が凍っていてスタカットで進む。千丈沢乗越の1つ手前のピークからは千丈側の雪壁をトラバースすると千丈沢乗越。13:00。猛烈な風で聡美が飛ばされる。考える余地はなかった。槍はあきらめてすぐに下山にかかる。一段降りて中崎尾根上部の肩に出ると風は少し落ち着く。うっすら飛騨沢のほうにトレースが延びているのでそれをたどる。ここまで、積雪は少なかったので、雪崩も心配なかろう。標高を落とすごとに風は弱まり体も熱くなってきた。ほっとするとともに一気に疲れが出てきた。
槍平16:30。意外に時間がかかってしまった。ここで泊まろうかとも考えたが、雪も降っているので、トレースがなくなることが心配でボチボチ進むことにする。滝谷18:00。暗くなったが白出沢の小屋までと頑張る。19時を過ぎまだ着かなかったので、右俣谷に降りてテントを張る。テント入り20:00。
【1/4 6日目】 雪 -5℃
始発のバスに乗りたかったので、4:30出発。
すぐに白出沢にでた。あとはトレースのついた林道で、すんなり新穂高に7:00到着。
(*時間は2日目昼間以降、時計も忘れ、カメラもダウンしたので行動中、ラジオを聴きながら時報でチェックしたので、おおざっぱである。)
《登山メモ》
*夜食(ラーメン1個+カップライス1個=二人分)満足だったがラーメンだけの方が体があったまり、水分も取れ満腹感が大きい。また嵩もカップライスとあまり変わらない。食器洗い用に具の入っていない透明なスープ(お吸い物の元やオニオンコンソメ)があればよかった。
*朝食(ベルギーワッフル3個+カフェラテ1包)2個で十分だった。
*行動食(濃厚ブラウニー2本)少し足りなかった。スニッカーズ小1本を15時以降の馬力アップにほしい。
*ガス 500gx2本で十分
*非常食 1日6本で1ブロックのストレッチ梱包 一人4ブロック持ったが2ブロックで十分
*クエン酸スティック飲料500ml用を二人で1日1本あるとよかった。
*二人で梅酒200ml・富士山麓200mlでもつ。
*「プラつまようじ」1本をなんでも袋へ
*氷用アックスは石付き部分がブッシュに引っかかる
*ダイニーマコード2.8㎜で作ったリーシュはまあまあ
*ツエルト用の2㎜ダイニーマ張り縄はもつれやすい
*#7モンベルスリーピングバック+カバー+ユニクロダウンジャケット厚(上半身)+ユニクロダウンジャケット薄(足先用)であまり寒くなかった。⇒この際、フードをかぶり首元でカバーの絞りで縛るとスリーピングバックも濡れない。
*起きている間ダウンジャケット厚があると何かと便利⇒したがって今回の組み合わせはこれからも採用すべき
*ネオプレンソックス直履きは汗がかなりたまった。寒いことはなかったが少し不安。薄いソックスを履くことも考えてよいがテントの中での後処理は大変だろう。ウールの中厚ソックスをバックアップで用意すべき。
*グローブシステムについて
①標準用=防寒テムレス(2L)+黄色のナフコ薄グローブ+ゴム手
ナフコグローブは手が泳ぎよくなかった。ユニクロがいい。暖かいときはテムレス+ゴム手でちょうど行く作業性もよい。今後も採用すべき。
②低温用=防寒テムレス(3L)+未脱脂ウール+ゴム手
風雪下で冷たかったがこんなもんか。
*安物ゲーター(紫はゴムバンドが外れやすかったが加工したら治った)
*ユニクロズボンOK
*厚股引は裾が固すぎてソックスなどが履きずらい
*スカルパブーツ+モコ助はなかなかいい⇒今後採用
*夜はモコ助+黒の化繊ソックスで暖かかったがウールソックスの方がよい
*ヘッデンはリチウム予備3本で十分かも
*白の自撮りカメラは夜、充電しながらの使用で1日持つ。充電完了も早い。
*聡美が像足をもっていったが、2人に一人あれば便利だと思う(ネオプレンソックスでは欠かせない)
*バッテリーセット
①GPS リチウム電池予備2セットで十分(たぶん頻繁に使わなければ1セットで十分)
②スマホは12000mAhモバイルバッテリー+純正替え電池1個で十分(たぶん)
*腕時計は絶対必要
*AMラジオは絶対持っていくべき。FMでは天気情報は十分得られない
*夜食補助としてピナーッツがほしい
*硫黄尾根にはスノーシューはいらん。新雪がたくさん積もりそうなときのみワカン持って行って、今回のような天気の場合はワカンもいらん。
*モンベルのフード付きフリース中間着(トレールアクションパーカ)をネックゲイターと併用しバラクラバ代わりにしたが息もしやすくよかった。⇒今後採用
*プラスプーン・フォーク+ヘラ3点セット袋⇒よかった
*今回のクッカーセット
+フィン付きクッカー1L
+ジップロック社600mlスクリュー蓋つき円形コンテナ
+日本メーカー800mlスクリュー蓋つき円形コンテナ
+S/F/ヘラセット袋
+布きん
+バーナー
+ライター
とてもよかった⇒今後採用
*900mLサーモス+チタンカップ⇒とても良い・今後採用
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